医療事故紛争のより良い解決を図ろうと、医療従事者や弁護士、研究者に加え、被害者遺族も運営に参加して中立的な立場で、医療事故を仲裁しようとする試みが「医療事故紛争処理機構」、ADRです。裁判によらずトラブルを処理するための仕組みで、国会でADR法が作られて、この4月に施行されました。これは、列車や航空機による大事故が起きた場合、原因を究明する事故調査委員会のいわば医療版に当たります。
医療はもともと「不確実性」をはらんでおり、ミスがなくても一定の確率でトラブルや事故は起きることが考えられます。事故の確率は難度に比例して高まるため、最近の医療訴訟の状況からすると、危険を冒してまで難しい手術に挑む医師が少なくなってしまうことが懸念されます。
一方、問題が起こってしまった患者側からすれば、民事訴訟で医療機関や医師に損害賠償を求めるのもうなずけます。裁判が長期化すれば、経済的、心理的な負担は日に日に増していくことになります。ただ、これは患者だけでなく医師にとっても同じこと。
医療機関と患者が泥沼の法定闘争に突入するのは、対話不足が大きな原因とされます。このような問題を少しでも早く解決できるように、ADRに期待します。


